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「生産緑地」で無秩序な住宅化が進む
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四日市での経験を議事録から読む
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四日市の経験
静岡市が政令指定都市に昇格すると、生産緑地法が適用され、市街化区域の農地は、固定資産税・相続税ともに宅地並課税されることになる。
三重県四日市市は、名古屋圏の都市として、平成3年から、生産緑地法が適用されている。適用から10年経過した平成13年の四日市市議会で、「無秩序な宅地化が進んでいる」という指摘が行われ、市当局も問題があることを認めた。
清水、静岡の市街地に残る農業にとって「死活問題」となる、宅地並み課税と生産緑地制度について四日市での経験を、市議会議事録から紹介する
問題を抱えたままスタート
三重県四日市市議会では平成13年12月議会で中森愼二議員(フォーラム新風)が、宅地並み課税、生産緑地について一般質問をしている。
1991年(平成3年)三重県四日市市は桑名市とともに、名古屋都市圏の特定都市として生産緑地法の対象となった。中根議員は質問の中で、当時の状況を次のように説明した。
「当時の議論としては、名古屋都市圏の中で岐阜市が特定市の対象となっていないのに、どうして四日市市のような地方都市が対象となるんだろうか、おかしいではないか。また、将来の農業後継者が不透明な状況で、最低30年間続ける営農の選択をどうしてこんな短期間でしなくてはならないか。あるいは、宅地化する農地を選択した場合でも、4m以上の道路に面していないため建築確認申請がおりず、建築できない農地はどうなるんだろうか等々、さまざまな問題提起がなされスタートした制度でありました。」(中根議員)
買い取り実績なし
「生産緑地」に指定されると課税では優遇されるが、30年間は転用ができない。生産緑地法が導入されてから10年経ち、どうなっているのか、また、生産緑地の買い取りについて四日市市都市計画部長は、こう答弁した。
「10年経過した現在、宅地化する農地は504haから338haに、また、生産緑地いわゆる保全する農地は242haから212haに変遷してきております。
次に、買い取り申し出に関するご質問でございますが、平成12年度末におきまして、これまでの申し出件数でございますが、筆数にして376筆、187名の方から申し出がなされております。
このような申し出が提出された場合、市だけではなく県の関係機関にも周知いたしまして、その旨、状況を把握するわけですが、その結果、買い取りがない場合には、農業委員会の協力も得ながらあっせんという形で努めてきたところでございますが、現実といたしましては、公共用地としての買い取りや農業者へのあっせん成立の実績は、残念ながらございませんでした。」(都市計画部長)
無秩序な宅地化
都市計画部長は、生産緑地に指定された土地での営農が続けられなくなって場合の、買い取りやあっせんの実績が無かったことを認めた。議員は、「生産緑地法改正が四日市市にもたらしたものは何だったか」と質問を続ける。
「私が目にすることは、確かに、宅地化する農地により宅地供給が進められたことは事実であると思いますけれども、計画性を持った宅地化というよりも、単に農地1反を使った無秩序な2階建てのアパートが増えたなという印象を持っているだけでありますけれども、この印象は間違っているんでしょうか。そう感じているのは私一人なのでしょうか。
そこで、お尋ねをいたしますが、この生産緑地法が改正をされ、10年間が経過してみて、四日市市にもたらしたものは、都市計画上どのようにとらえてみえるのでしょうか、お答えください。
そして、それからとらえられた内容を、今後の都市計画マスタープランなど、全体構想の中にどのように反映していこうとしてみえるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。」(中根議員)
これに対して、都市計画部長は計画的な宅地化の進行に問題があったことを認めざるを得なかった。
「農地の宅地化を促進して宅地供給をふやすという面におきましては一定の成果があったものと認識しております。しかし、宅地化の速度が急激であったということや、指定について権利者の意向を重視するということの結果として、議員ご指摘のとおり、生産緑地が分散して計画的な宅地化の進行に問題を残すところもあったかと考えております。」(都市計画部長)
10年前と同じ議論
議員は質問の最後に、宅地化を進める目的で施行された宅地並課税と生産緑地制度が、10年経過しても、当初と同じ議論をしていることを指摘する。
「この問題は国の法制度のもとで、特定市として四日市市が、ある意味では押しつけられてきたという種類のものじゃないかと私は思っておるんですね。岐阜県の岐阜市がその対象じゃなくて、どうして四日市市なのかという論議もあったわけですけれども、法で定められた以上、これはもう逃げられないわけですので、現実受け入れて10年が経過をした。その中で、総括していかなくてはならないのは、当初、宅地を選んだ農家の面積、そして保全する農地を選択した農家、その中で7割の農家が宅地並みを選択したわけです。今、都市計画部長のお答えでいくと、504haから338haに宅地化を選んだ農地になっているということは、約200haが現実に宅地になった。アパートなり住宅が建ったということなんですね。そうすると、最初7割の方が宅地化を選択したけれども、現実的には40%しか家が建ってない。まだまだ市街化区域の中に農地として残ってる。だけど、税金は宅地並みを負担してもらってる。こういうのが四日市市の姿なんですよ。」
「10年前の議事録を私ちょっと読み返してみたんですが、今と同じ論議なんです。恐らく予測されるので、そういうことのないように誘導していきたいということを都市計画部長、当時も言ってるんですが、結果としてできなかったわけです。できなくて今の状態になってる。虫食い的なとは言いませんけれども、無秩序な宅地化が進んでいる。この現実を改善するために、やっぱりこれからマスタープランの地区計画でそれをどう織り込むか、このことを性根を据えてやっていただきたいと思っています。」(中根議員)
行政と議員の説明責任
静岡市は来年四月の政令市昇格と同時に、市街化区域の農地に宅地並み課税が適用される。負担を軽減するための優遇策として「生産緑地制度」の導入に向けた研究を行っているという。
しかし、すでに実施されている四日市市では、「無秩序な宅地化」という現実がある。政令市への移行に伴う、さまざまな問題について行政や議員は市民に説明する責任がある。
【写真上】西久保は住宅地のなかに茶畑がある
【写真中】楠新田の水田
【写真下】秋に撮影した、楠新田の同じ田圃
(04年3月3日)
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