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静岡市の政令市昇格で |
| 市街化区域農地は大増税に |
農地808ヘクタールに宅地並み課税
静岡市は2005年4月に政令指定都市昇格を目指して準備をすすめているが、政令市に昇格した場合、市街化区域のなかにある農地に宅地並み課税が適用され、農地への課税は2倍から3倍の増税になることが明らかになった。
政令市になることで、三大都市圏の都市として、農地の課税基準が変更される。対象となるのは、清水では三保、草薙、静岡では沓谷、羽鳥などの市街化区域にある農地で、面積808ヘクタール、地主約8000人、農家3500戸にものぼる。
JA静岡市の片井範男組合長は「市街地の農業生産は壊滅的な影響を受ける。合併特例法により、事業所税は減免措置が取られているのに、こんな不公平な話はない」と怒る。
生産緑地制度の足かせ
静岡市では事業所税と異なり「税制面からの減免措置は難しい」として、「生産緑地制度」の導入に向けた研究に入った。
「生産緑地制度」は、宅地並み課税をしない代わりに30年間の営農を義務づけている。もし、営農が困難になった場合は、市が買い取ることもできる優遇策である。
しかし、相続税を払うためのアパート経営などを認めていない。農地としての管理を前提とした優遇だからである。今は元気に農業を続けていても、5年先、10年先のことを考えると、30年間の営農義務は、判断に迷うのではないだろうか。
「生産緑地制度」は、地価の高い幹線道路沿いで、とりあえず緑地指定を受ける傾向があり、こらの農地が、市街地再開発計画の妨げになるケースも出ている。
4年間に渡る静清合併協議会では、政令市についての検討は一切行ってこなかった。そのことのツケが「こんな重要な問題をなぜ市民に早く知らせないのか」という戸惑いの声となっている。
政令市昇格による宅地並み課税を報道した静岡新聞の記事全文を資料として掲載する。
(04年2月29日)
2004年2月29日静岡新聞朝刊より
市街化区域農地
宅地並み課税「困った」
来年四月、政令指定都市に移行する静岡市に思わぬ難題が持ち上がっている。地方税法により、市街化区域農地の固定資産税が宅地並み課税となるためで、課税率は平均で二・五倍にもはね上がる。都市農業は生き残ることができるのか、農業従事者らの不安が高まっている。
一気に2、3倍
対象地主8000人
「生産緑地制度」など優遇策研究へ
「農家にとっては死活問題。政令市には賛成だが、こんな重要な問題をなぜ市民に早く知らせないのか」。市街化区域の小鹿地区に水田を持つ農家の後継者(43)は戸惑いを隠せない。
市税制課によると、同一市内の市街化区域農地は約八百八ヘクタールで、対象となる地主は約八千人、農家は三千五百戸に上る。特に羽烏、沓谷、清水三保、清水草殖地区などが多いという。現在、この地主一人当たりの平均課税額は固定資産税と都市計画税合わせて十二万円。これが政令市移行後は三十万円になる計算だ。
この事態を重く受け止めたJA静岡市とJAしみずの両農協は、小嶋善吉市長、剣持邦昭市議会議長に地主への新たな課税負担に反対する要望書を提出した。JA静岡市の片井範男組合長は「市街地の農業生産は壊滅的な影響を受ける。合併特例法により、事業所説は減免措置が取られているのに、こんな不公平な話はない」と指摘する。
「とんでもない話。農業の採算性以上に農家のマンション経営、相続問題にも大きく関係してくる。反対運動を起こしたいくらい」と憤慨するのは、同市竜南地区に水田を持つ七十歳代の女性。市民からは「増税で畑を手放す人が増える可能性がある」「ウォーキングや犬の散歩が楽しめる生活環境が様変わりしてしまいそう」「市民農園の契約料も上がりそうだ」など住環境の急変を心配する声もある。
「あらゆる検討を行っているが、税制上からの減免措置は難しい」(市税制課)として、市は優遇措置の取れる「生産緑地制度」の導入に向けた研究に入った。
2004年2月29日静岡新聞朝刊より
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▼静岡新聞 04年2月29日朝刊

生産緑地制度
市街化区域内の農地を「保全する農地」(都市の環境保全や、農産物の供給のための農地)と「宅地化する農地」(住宅・宅地供給促進のための農地)に区分する都市計画の制度。平成3年4月の生産緑地法の改正で作られた。
生産緑地地区の指定要件
生産緑地に指定されるには、現在に農地として利用していて次の要件を満たしていることが必要。
(1)面積が一団で500平方メートル以上の農地(隣の農地と合せてもよい)。
(2)農業の継続が可能であること(用排水などが整備されていること)。
(3)農地に賃借権や抵当権などの権利が設定されている場合は、関係者全員の同意書が必要。
(4)公害などを防止したり、農業と調和した都市景観の保全に役立ち、公共施設などの用地に適していること。
生産緑地地区に指定されると
(1)農地として管理することが義務づけられ、農地以外の利用はできない。
(2)建築物などの新築、改築又は増築や宅地造成などの土地の形質の変更はできない。
(3)生産緑地地区については税制上の優遇措置(固定資産税、相続税など)が受けられる。
(4)30年に満たない場合でも営農が続けられなくなった場合は、市に対して農地の買い取りを申し出ることができるが、公共用地としての利用予定がない場合の買い取りまで保証している訳ではない。

宅地並み課税
都市計画法による市街化区域内農地について、住宅地と同じ課税し、農地の宅地化を促進し地価高騰を抑える目的があった。1971年度以降、改正が続き、92年にようやく決着がついた。
71年度の税制改正では、農地を地価に応じABCの三段階に区分、72年度から76年度にかけて宅地並み課税を実施しようとした。しかし農業団体の反対で見送りとなり、再度76年度から2年間でAB農地を宅地並み課税、C農地は82年度から実施とされた。
この間多くの市町村では増税分に対して緑地保全補助金などの交付を行うなど、農家を保護する政策がとられた。82年度には再び「長期営農継続農地制度」の導入で10年間徴収猶予となった。
その後の地価暴騰対策として、92年度より生産緑地法が改正され、C農地を「宅地化する農地」と「保全する農地」に区分し、後者を「生産緑地農地」として、長期継続農地制度を廃止した。
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