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政令市?(その4)
政令市はバラ色か・広島市の財政危機

     5月31日、静岡市は「行政区画の編成と区役所の位置」という大判のチラシを新聞折り込みで配布した。政令指定都市に向けた準備のなかで、市が進めようとしている三区分割案を説明するためのリーフレットである。

      同じものを静岡市のホームページから見ることができる。すでに新聞やテレビで伝えられている分割案と、政令指定都市についての説明が表や地図で示されている。これを使って市内10カ所で地区説明会が開かれる。

     政令指定都市の説明では、区役所が設置されると「身近な場所できめ細かいサービス」が受けられると説明している。政令指定都市が設置する区は、東京23区のように議会と予算を持つ特別区ではない。区長は市長が任命し、区議会は持たない。さらに、小嶋市長が作ろうとしている区役所は「小区役所」と呼ばれ、主に窓口業務を行うものである。

     現在、市民サービスを行う窓口は旧静岡市で17カ所、旧清水市で10カ所ある。現在と比べて「身近できめ細かいサービス」がどのように行われるのか、リーフレットには何も書かれていない。

    広島市との財政比較 

     リーフレットでは政令指定都市の指定を受けることで、財政規模が飛躍的大きくなる資料として、広島市との比較グラフを入れている。【右グラフ】

     オレンジ色が旧静岡市と旧清水市の合計で、緑色が広島市である。昭和55年の政令指定都市指定から広島市の歳出がぐんぐん伸びていることを表している。

     年度の数字が小さく判りにくいが、グラフの一番右は平成10年度で、歳出総額は静清両市の伸びをはるかに凌いでいる。

     広島市は平成10年で人口が112万人と、静清両市の1.5倍ある。このグラフは、広島市が政令指定都市になってから、人口差を遙かに上回って歳出が急激に増えたことを説明している。



     上のグラフは広島市財政局財政課が紹介している「財政の現状」である。

     広島市の説明では、平成10年をピークに会計規模は減少・横ばいの傾向にある。静岡市のリーフレットは平成10年までしかグラフがないが、翌11年から、広島市の財政は減少・横ばいとなっている。

     

     上のグラフは広島市が財源調整のために用意している基金の残高推移である。

     政令指定都市になり、広島市の歳出は大幅に増えた。しかし、市の税収は増えないばかりか、平成5年度には戦後初めて対前年度比マイナスとなった。平成15年度の当初予算額での市税収入は、平成2年度の水準にまで落ち込んでいる。

     歳出が増え続けるが、歳入が伸びないため、財源調整のための基金を取り崩すことになる。ピーク時の平成2年に531億円あった基金は、今年度でほぼ底をつく状態になっている。

     小嶋市長が作成したリーフレットは、政令指定都市となった広島市の危機的な財政状況について何も説明していない。

     上のグラフは広島市の市債発行額と、その残高である。

     広島市は「低迷する景気の浮揚を図るため公共事業の拡大」を行ってきたため、市債残高が増え続けている。

     さらに、平成13年から地方交付税が削減されたことから市債(臨時財政対策債)発行を増加させ、今年度の累計は9600億円を超えた。借金だけが右肩上がりで、1兆円に向かっている。

    都合のよい数字だけを並べている

     広島市は平成9年に「財政健全化計画」を策定し、財源不足の解消と市債残高増加の抑制を目標として、市の財政健全化に取り組んでいる。計画の達成目標は今年度となっているが、健全化計画の延長と再検討は避けられないだろう。

     静岡市は政令指定都市に向けてバラ色の未来を描いているが、広島市の「財政健全化計画」を教訓として学んでいるとは思えない。予め作られた結論のために、都合のよい数字だけを並べても、説明責任を果たしたことにはならない。

    (03年6月2日)

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