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磐田市長の発言

     11月22日付静岡新聞「首長持論」で鈴木望磐田市長は、「一貫して磐田市の合併を推進してきたし、今後も全力で実現に努めるつもりだ」という立場を明らかにしつつ、現在進められている合併議論は「極めておかしい」と批判している。

     全国各地で、国が強制的にすすめている「平成の大合併」に疑問と不満の声が上がっている。11月25日付朝日新聞は合併問題で特集を組み、「国の合併方針に対する反発は『市町村のリストラ』を察しているからだ」と解説している。

     鈴木磐田市長の、「合併によってふるさと意識の持てない市町村が誕生してもいいのだろうか」という主張は、組合せを巡る主導権争いばかりが目につく「平成の大合併」に一石を投じたといえる。


    ●静岡新聞 02年11月22日付「首長持論」

    大きければ良いのか
    ふるさと意識持てる合併

                   鈴木 望 (磐田市長)

     市町村の合併論議にともない、極めておかしいと考えられる主張が三つある。このままでは、住民に最も身近な基礎自治体である市町村がゆがめられた形になってしまうのではないか。強い危慣をいだく。

     一つは、合併の規模は大きければ大きいほど良い、という考え方である。甚だしい例では、静岡県は西部、中部、東部の三市に集約合併されるべきとの論まである。果たしてそうであろうか。

     第二は、望ましい合併は政令市、中核市、特例市の順に、なるべく大きな権限を付与される合併であり、逆にいえば、権限を付与されない規模の合併は意味がないという主張である。

     第三は、合併の論拠をもっぱら経済合理性・効率化に置く考え方である。

     私は一貫して磐田市の合併を推進してきたし、今後も全力で実現に努めるつもりだ。その理由は自分のふるさとをより良くしたいためである。基礎的自治体である市町村はふるさとだ。誰もが愛着を持ち子孫に守り伝えたいふるさとだ。もちろんふるさとの範囲は交通基盤の整備、情報環境の変遷等によって変わっていく。だからこそ市町村の範囲も変わっていくべきと考えるのだが、合併によってふるさと意識の持てない市町村が誕生してもいいのだろうか。

     行政効率の観点から、合併で全国の町や村をなくし、すべて市に再編すべきという主張がある。ふるさと意識の観点からすれば全くの暴論である。行政効率のためにふるさとがなくなってはたまらない。経費の節減・行政の効率化は、県による行政事務の一部代行、助役等の廃止、直接民主制の採用による議会の大幅な簡素化等によって十分可能である。

     現に磐田市の姉妹都市の米国マウンテンビュー市(人口約八万人)の市議会の定員は七人。市長は各議員の持ち回りであり、七人による議会の様子はケーブルテレビによって中継されている。

     合併は歴史的・文化的同一性、経済的な同一性、日常生活の同一性を総合的に判断し、共通のふるさと意識を持てる範囲で実施すべきである。その結果、人口規模が一定基準に達すれば、特例市なり中核市になるのであり、特例市や中核市になることを目的とした合併は本末転倒である。言わせてもらえば、もっと権限を市に移譲してほしい。人口九万の磐田市でも特例市の権限を十分に行使できる自信はある。

     二十一世紀の日本では大小とりまぜ、様々な形態の市町村がふるさとの繁栄を目指して個性的な取り組みを展開している。これが本来あるべき地方自治の姿ではないだろうか。


    (02年11月26日)
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▼静岡新聞02年11月22日付朝刊より


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