夏の記憶

秋葉山公園の東端はすり鉢山だ。山頂に高射砲陣地があった。今は痕跡もないが、防空壕跡は怖いもの見たさで覗きに行ったことがある。
「夏休みの友」の表紙に自分の名前を書いていた頃の記憶では、8月に30度を超えた日は数えるほどだったような気がする。東海道新幹線が開通する少し前、袖師の海水浴場が賑わっていた頃の記憶だから、正確さには欠けるかもしれないが…。

西久保保育園のフェンスにスイカが実を付けていた。
手押しポンプでくみ上げた井戸水をブリキのバケツに入れ、スイカを浮かべる。木綿の手ぬぐいを被せて冷えるのを待った。今から考えると、たいして冷えていなかったと思うのだが、記憶のなかでは最高に美味しかった。
袖師の海水浴場も、8月のお盆の頃になると土用波で、度胸試しの浜になる。大波に飲み込まれ、でんぐり返りながら砂浜に叩き付けられ、しこたま呑んだ潮水にむせていた。砂まみれになって遊んでいた夏が懐かしい。

10年ほど前、セミ取りに夢中になっていた。子どものためというのは口実で、私とつれあいが夢中になった。夕方になると羽化のため地中から這い出してきたセミを探し、昼間は鳴き声を頼りにセミが集まる木を探した。