天神さん

西久保6区の双葉屋さんに飾られている天神さん。後ろに見える手ぬぐいは昭和45年の宝くじ25周年の記念品だろう。天神さんは学問の神様として名高い菅原道真公のことである。
辻町と旧袖師町の境目となる信号の海側にタバコ店双葉屋さんがある。店には道路に面してショーウインドがあり、季節に合わせていろいろな物を見せてくれる、まちの小さな博物館でもある。
そのショーウインドに立派な髯の人形が飾られている。大きさは50センチ以上あるだろか。「ひな祭り」の記事を書いた時、真丹後さんがコメントで紹介していた「天神さん」である。
インターネットで「ひな祭り、上巳の節句」などをキーワードにして調べると、各地で天神さんが飾られていたことが分かる。天神さんは学問の神様として名高い菅原道真公である。三月三日の上巳の節句に、男の子には天神さんを、女の子にはお雛様を飾り、子どもたちの厄払いと成長を祝っていたという。

西久保の双葉屋さんに飾られている内裏びな。天神さんより小ぶりだが、現代のひな人形と比べるとかなり大きい。
昭和36年(1961)発行の「袖師町誌」には、月遅れの4月3日に行われるひな祭りを「神武さんと言い、三月三日の上巳の節句を月おくれ」で行うと紹介している。
「じょうし」、または「じょうみ」と呼ばれる3月3日の節句は、中国から伝わった厄祓いの行事で、ひな人形が飾られるようになったのは江戸時代からだという。
神武さんとは、神武天皇即位日を祝う紀元節のことだ。紀元節は明治6年(1873)の改暦で3月7日と定められた。しかし、伝統的な暦を欧米の太陽暦に合わせたため、いろいろな混乱が生じ、その後2月11日に改め現在に至っている。
新国家建設をすすめた明治政府は、伝統的な五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)を廃して、紀元節と天長節を定めた。明治政府が定めた節句の登場で、何百年もの歳月のなかで人々の生活に根付いていた節句が廃止された。さまざまな混乱のなかで、袖師の人たちが出した結論が、桃の節句と、紀元節を結びつけ、内裏雛と天神さんを飾る「神武さん」だったのかもしれない。
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