荻錦

●純米吟醸無ろ過生原酒「萩錦」●アルコール分17度以上18度未満●原材料名/米・米こうじ/精米歩合60%(誉富士100%)●製造年月/19年12月●醸造元:荻錦酒造株式会社/静岡市駿河区西脇381
酒米の「誉富士」は静岡県農業試験場で品種改良された新しい銘柄米で「臥龍梅」や「正雪辛口純米」など、県内蔵元で使われている。
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20年ほど前の話になるが、パソコン通信というものがあった。掲示板やメールでのやりとりは、どこか同好会、同人会の雰囲気があった。mixiのコミュと呼ばれる会議室に似ているような気もする。
NECのPC-VAN、富士通のニフティなど全国に会員を持つネットの他にローカルなネットもたくさんあった。静岡県中小企業振興公社が運営していた「ちゃっきりネット」も、そのひとつだった。
中小企業や、個人商店の異業種交流を目的に作られた「ちゃっきりネット」から新たなビジネスが産まれたかどうか定かではないが、「異業『酒』交流会」と名付けた懇親会は頻繁に行われた。
山に出かけ釜で飯を炊き、浜で七輪を囲み魚を焼いた。冬の田んぼで芋煮会もやった。清水から伊豆の河津まで自転車で出向いたり、蔵元から講師を招いて地酒の勉強会も開いた。
その頃の仲間から紹介してもらい、正月用に「萩錦」の酒を頼むようになった。
暮れになると「今年はどうしますか」というメールが届く。返信で本数を伝える。次に蔵出し日の連絡がある。以前は、引き取りも友人に頼んでいたが、ここ数年は西脇の蔵元へ取りに出向いている。
呑み終えると瓶を水に漬け名入りラベルをはがし、毎年1枚だけ食器ケースのガラスに貼り付けている。今年の分で7枚目になった。
ラベルを見ながら、1年前、2年前と記憶の糸をたぐり寄せてみると、3年前ぐらいまでは順序立てて覚えているが、それ以前の正月はぼんやりしている。子どもたちと百人一首をやったり、浅間神社や毘沙門さんに出かけたことは覚えているが、それが何年前だったか、しばらく考えないと答えが出てこない。
忘れているのではない、順番が曖昧なのだ。毎年のどかな正月を過ごしていたようだ。曖昧な記憶しか残らない平凡な日々、それが一番かもしれない。

浜田踏切りの脇にある大きなマンションの入口に寒桜が咲いていた。