駿河小饅頭

友人がブログに10円饅頭の話題を書いたら、それへのコメントのなかに「駿河小饅頭」の文字があった。
「駿河小饅頭」西久保の秋月堂が製造販売している小さな酒饅頭である。白い皮はつぶあん、茶色は味噌味の白あん。
白い皮のつぶあんも美味しいのだが、なぜか茶色の味噌饅頭の方に手がいってしまう。それを少しだけ我慢して、交互に食べる方が、双方の味がより引き立つような気がする。不思議なものだ。

駿河小饅頭の包装紙には和歌が記されている。
雲もなき 三保の沖津の 朝なぎや
見るめにうかぶ 浦の松原
(典仁親王)
秋月堂の向かいに「静ごころ」の三和酒造本社がある。その間に、バス路線にもなっている狭い道路が走る。県道75号線(主要地方道清水富士宮線)だ。
この道を自転車で走っていると、後ろから来た路線バスは自転車と同じ速度に徐行する。対向車があると自転車を追い越すことが難しいからだ。そんな時は、自転車が止ってバスを送ってやる。生活道路の譲り合いが、この道にはある。
県道75号線は秋月堂から南へ進むと、大手町を通って小芝神社を抜け、浜田から港橋を経て万世町の起点まで続く。北へ進むと庵原を経て富士宮に至る。明治時代には、江尻から庵原まで軽便鉄道も走っていた。今では狭い道路であるが、中世から近代まで清水の歴史を語る時、欠かせない道路のひとつだろう。
三和酒造の裏に広がる木々は、鹿島神社に続く。新幹線で中断されてしまったが、この森は秋葉山とつながっていた。
小さな酒饅頭を食べながら郷土の歴史に想いをよせる。夜長の季節にふさわしいではないか。

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