彼岸

春と秋の彼岸は、太陽が真東から上り、真西に沈む。仏教の世界では極楽浄土は西方にあるとされていることから、沈む夕陽に祈りを捧げながら、極楽浄土を思い描いたのかもしれない。
秋の彼岸の少し前、西伊豆に法事で出掛けた。真夏のような陽気のなか法要と墓参りをすませ、17:20土肥発の最終フェリーで清水へ戻る。
西日を浴びたフェリーの舳先を真っ直ぐに伸ばすと、清水のまちがある。

土肥から清水までフェリーで65分。横揺れ防止装置の威力なのだろうか、何度乗っても快適だ。
子どもの頃、江尻から伊豆へ戻る鰹船に便乗させてもらったことが何度かある。台風の余波で海がうねり、凄まじい揺れに恐れをなしたこともあった。操舵室の四角い窓一杯に海が見えたと思ったら、次の瞬間、空になる。海と空が交互に見えた。それに横揺れも加わると、恐怖心は船酔いを呑み込んでしまい、ひたすら陸地に戻れることを祈った。
ところが、船を操る大人達はよろめく小学生を笑顔で介抱してくれた。「板子一枚下は地獄」が毎日の彼らにとっては、この程度の揺れは当たり前のことなのだろうと、子どもなりに納得して、窓のなかの海と空を見続けていた。

土肥を出て30分ほど経った頃、夕陽が黄金色に輝いた。写真では判りにくいが肉眼では太陽が沈む先に有度山が見えた。
清水港に近づき、まちの灯りが明るさを増してくる。空には三日月が出ていた。
駿河湾を間にして、清水から見る東の向う岸は伊豆で、伊豆から見ると、西の向う岸は清水になる。当たり前のことだが、彼岸に駿河湾を往復すると、いつもとは違って見えた。
「彼岸」へ届いたコメント
うえくみさん、はじめまして。管理人の磯波です。
清水―松崎の航路は、私も何度か乗った覚えがあります。夏場だけの運行で、今のようなフェリーでなく、小さな船だったと思います。
父と母の本家が同じ村にありますので、年に何度か西伊豆に出掛ける用事があります。のどかな伊豆の写真も紹介しますので、時々覗いてください。
磯波 | 2007年09月25日
素晴らしい夕景ですね。感動して無心に合掌したくなりますね。父の実家は清水、渋川、おばさん(92歳)が押切にいます。警察官だった父は転勤も多く、松崎にもおりました。高校生だった私も単身赴任していた父のところに夏休み静岡市から清水ー松崎の航路でいったときもあります。三島から船原峠、西伊豆の港港をとおって、バスでもいきました。東伊豆の観光地と違って西伊豆はのどかにおちついていました。田子のみなとを通過するともうすぐ松崎、長いバス旅でした。父は8年前75歳で亡くなりましたけど、清水、西伊豆、駿河湾の海すべて懐かしく思い出されて見ず知らずの方のあまりに鮮明な映像に一言かきたくなりました。私は今は県内、裾野市に住んでいます。
うえくみ | 2007年09月24日