第五福竜丸

なにかの拍子に、映画のワンシーンを思い出したりすることがある。連想ゲームが古い映画で終わりになることが多いのだ。たまに、別のきっかけからも、同じシーンを思い出すことがある。
そんな時は、辻町にある全国チェーンのレンタルビデオ店に出かけてみる。出かけると言っても家から自転車で数分の距離だ。
何度行っても店のなかは迷宮のように思えて、どこを捜せばいいのか判からない。題名もうろ覚えが多いので店員に聞くわけにもいかず、うろうろした挙げ句に、家族揃って見られそうな「ハリーポッター」なんぞを借りてきてしまう。
先日も、昔の映画を探していたら、新藤兼人監督作品がシリーズで並んでいるの見つけた。どの作品にも、乙羽信子、殿山泰司、小沢栄太郎など懐かしい名前が記されている。
その中から、「第五福竜丸」を借りてきた。かねてから、見たいと思っていた映画だ。
DVDには本編の他に資料編が収録されているが、その冒頭に大漁旗が映る。船名の下に「清水市」、その下に「櫻田造船所」と染め抜かれていた。
「第五福竜丸」は1947年に和歌山県でカツオ船の「第七事代丸」として建造され、1953年に清水でマグロ船に改造され、「第五福龍丸」となった。
カツオ船からマグロ船へは、漁法の違いから甲板部と、魚を収納する魚倉を改造する。いろいろな資料を見ると、改造は焼津、清水の金指造船と記述がまちまちだ。櫻田造船の名前は初めて見た。
櫻田造船所はずいぶん前に廃業している。金指造船(現在はカナサシ重工)と塚間の渡し(渡船場)を挟んで対面する場所に工場があったという。
映画は、焼津港から出港するところから始まる。
砕いた氷を船倉に入れ、食料の積み込みが完了すると、岸壁にたくさんの見送りが集まっている。紙テープが竜のように舞い、船員達が大きく手を振る。
子どもの頃、江尻岸壁で見送った記憶と重なって、熱いものがこみ上げてきた。

【写真中】塚間の渡船場からカナサシ重工のクレーンを見る
【写真下】袖師埠頭の沖合から三保造船のクレーンを見る
▼櫻田造船所があった場所をALPSLABの地図で見る