大政小政漬

トコブシが届いたばかりだったが、今度は西伊豆の別の家からムロアジが届いた。
干物という名前の方が一般的かもしれないが、わが家では開きと呼ぶ。干物と開きは、お結びとお握りと似たような関係かもしれない。
開きのなかで何が好きかと聞かれたら、「ムロ」、と答える。ムロはムロアジである。子どもの頃から一番食べてきた味だと思う。幼い頃から染みこんだ味は、簡単に消えるものではない。
ならば、アジとムロの開きが食卓に出てきたら、ムロから食べるのかというと、たぶんアジから食べるだろう。アジは焼きたてが一番美味しい。ムロも当然焼きたてが美味しいが、噛みしめながら味わうので、冷めても気にならない。だから、順番はアジ、そしてムロとなる。

駿河湾を挟んでの物々交換は、伊豆の魚に対して清水のお茶が定番なのだが、今回は「大政小政漬」にしてみようと思う。
わさび漬けなのだが、酒粕と大根など野菜が入っていて、醤油をかけなくてそのまま食べると美味しい。
味もそうだが、いかにも清水の名物という名前がいい。
「大政小政漬」へ届いたコメント
「アジは焼きたてが一番美味しい。ムロも当然焼きたてが美味しいが、噛みしめながら味わうので、冷めても気にならない」
まさにその通りですね。ずばりと言い得ています。母は美濃輪町のアジのひらきは焼きたてを食べて絶品だと唸り、いただいた田子のひらきは「小さく千切ってタッパーウェアに入れて置いてくれ、毎食時に少しずつ食べたい」と大事に食べていました。
僕は子どもの頃、母が焼いたくさやを小さく千切って保存しておきお茶うけとして出してくれたのを思い出しました。田子のムロの干物の向こうにはくさやへと続くうま味のルーツへの道が見えた気がします。
六 | 2005年11月09日