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2006年03月16日 白黒写真の時代

35年前の清見潟

35年前の清見潟

友人が送ってくれた35年前の写真には、庵原川の他にもう一枚あった。

撮影した本人も、何処でシャッターを押したのか皆目検討がつかないという。土地勘のない古い記憶は、写真のなかの霞んだ空のようなものかもしれない。

庵原川「一葉橋」の写真と同じように、直感的に場所の見当がついた。海岸の様子と山の形から、横砂と興津の境を流れる波多打川の河口付近だと思う。

画面下方に、石垣のようなものが見えるが、その部分にテトラポットが少しだけ見える。袖師ヶ浦と呼ばれた海岸は、昭和30年代に埋め立てられている。清見潟と呼ばれた興津の海岸で埋め立てや、バイパスの高架工事などが盛んに行われていた時代だ。

写真左端の色の濃い山は清見寺の山で、その後ろに霞んで見えているのは、興津川東側(興津東町)の山だと思われる。

手前の山と、その奥の山が、写真のような角度で見られる場所は、波多打川の辺りだと思う。昔からある国道1号線を興津から横砂に向かって走ると東海道線の線路を跨ぐ急な坂がある。道路の上に空を塞ぐようにバイパスが走る場所だ。

35年前の清見潟

写真が撮影された前年の、1970年(昭和45)に、波多打川から東側の興津の海を埋め立てた興津埠頭が完成している。コンテナを荷揚げするガントリークレーンが設置された興津埠頭の完成は「清水港のコンテナ化元年」と呼ばれた。

興津埠頭の工事と平行して、清見寺から52号線までの海岸の埋め立ても行われていた。バイパスの工事である。これらの工事で消えた海岸の代償として造られたのが清見潟公園だった。

現在の清見潟

上の写真は、波多打川のすぐ東側から、興津川の河口方面を向いている。噴水のある公園の近くだ。左に見える山が清見寺の山である。たぶん、35年前もこの辺りから撮影したのではないかと思う。

35年前と同じ場所を探したが、地上からは倉庫や高架に遮られて興津川を越えた山の姿を見ることはできなかった。

ただ、バイパスを横砂から興津方面に走ると、波多打川の辺りで、遮音壁が金属から透明アクリル板に変わる場所がある。ほんの一瞬だが、清見寺の山と、興津川東側の山が重なって見えた。

この場所で、間違いないと思った。


清見潟公園の建設を巡っては地元と港の管理者である静岡県との間で、長い協議が行われた。地元住民は実力行動を持って埋め立てを阻止を呼びかけたこともあったが、幾多の交渉を経て、海岸に代わるべき緑地帯1万5千坪を造ることで地元と静岡県は合意した。

海岸が消え、その代償として公園が造られた。きれいに整備された野球グランドや公園は、行政と地元の人たちの長年に渡る協議の結果だった。

清見潟公園は、庵原川の河口東側から始まり、波多打川を越え、52号線の入口まで続く。公園内を東西に歩いたら、1時間以上かかるかもしれない。

桜の季節、いにしえの白砂青松を思い浮かべなが公園内縦断ハイキングというのも楽しそうだ。

●海岸の埋め立てを巡る経緯は、清水市に吸収され庵原郡興津町が消滅してから30年を記念して出版された「興津三十年誌」のなかに詳しく書かれている。

▼波多打川をALPSLABの地図で見る35/2/32.452,138/30/38.095

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コメント

横砂から清見寺への国道1号線で、東海道線を跨ぐ坂道は独特な雰囲気がありますね。静岡県市町村対抗駅伝でも、この坂は、清水橋と共に難所として紹介されます。

横砂から清見寺へ坂を下って少し行くと道路の左側に「うなぎや洋品店」という看板が見えます。屋号だと思うのですが、通るたびに気になる店です。


何年か前、東京の友人が姉崎正治の研究の関係で清見潟を訪れ、樗牛や姉崎の愛した風景の、せめてよすがなりともと、重い三脚を抱えて清水へやってきたのですが、過去を偲ぶかけらすら無く、唖然としたと言っていました。
清見寺前の磯をうろ覚えでしか知らず、興津埠頭の方が馴染み深い僕でさえ、現在の興津埠頭から袖師埠頭にかけての風景は、なんだか異国にきたような気さえします。それはそれで面白いのですが・・・。
35年前の写真に写った対岸のあたりはよく遊びにいった場所であったはずですが、白黒写真では、昭和というより大正の雰囲気?

波多打川はあまりきれいな川では無かったんですが、山の方まで行けば泳げるということで、広瀬隧道の向こうまで自転車で行った記憶があります。中学時代の夏休みは泳ぐしか娯楽がなかったのでしょう。

国道1号線を横砂から清見寺へ行く時に越す小さな坂だけは今も昔と変わらず、不可思議な雰囲気を漂わせていて好きですね。

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