弱者に冷たい国のやり方
介護保険の要支援、車いす・ベッドの貸与を適用外
先頃、厚生労働省が、要介護度が最も低い「要支援」の人に対して、車いす・介護用ベッドを借りる場合、原則として介護保険適用の対象外とする方針を決めました。6月にも市 町村に通知するとしています。
介護保険については、使っている高齢者やそのご家族にとっては身近なことですが、それでも、制度について、当事者すら良く知らないのが現実のようです。
新聞の端っこで、この記事を見つけて驚きました。厚生労働省が一枚の通知ですませるとしたら、とんでもないことになります。
「要支援」とは?
介護保険は申請し、認定を受けなければ使えません。認定には「要支援」と「要介護1」から「要介護5」まで、6段階に分かれています。「要支援」は最も軽い状態といえますが、その目安は「要介護状態ではないが、社会生活の上で一部介助が必要な場合や、障害のため低下した能力を取り戻すような支援が必要な場合等」と言われています。
私の父が始めて申請した時は要支援でした。歩くのは捕まらずにできましたが、ほんのわずかな距離がやっとです。立ったり座ったりは、あちこちに捕まらないとできません。特に、寝た状態から起きて、立ち上がるのが大変で、夜中のトイレがおおごとです。「要支援」でも、ベッドや車いすが必要なことも
認定されれば、様々なサービスが受けられますが、その一つに福祉用具の貸与・購入があります。今回問題となっているのは、貸与です。今までは要介護度に関わらず、車いす・ベッド・歩行補助杖・歩行器・スロープなど12品目が対象となっていました。
私が福祉用具専門相談員として働いていた経験から言うと、介護保険が認定されると、多くの高齢者が介護用ベッドの貸与を望みます。例え要支援であっても、たいていの方は、足や腰が悪く、歩くのがやっと、立ったり座ったりは何かに捕まって、という状態なのです。
この場合、高さ調節のできる介護用ベッドは、立ち上がりにとても便利です。人の手を借りなくても、寝た状態から起きあがり、高さを調節して、自分で立つことが容易になります。畳に布団の生活では、とても自立できません。
実施されると大変なことに
厚生労働省も、要支援の利用件数の9割は車いすとベッドだと説明します。必要性があることを認めていると思います。これが対象外になると、引き続き借りるためには、全額自己負担となります。普通、ベッドセットで1ヶ月1万5000円から1万8000円位。介護保険なら、この1割の負担です。
払えないからと、使うのを諦め、返却する方も多く出るでしょう。そうなると、貸与事業者にとっては、たくさんの返却がきて、経営も圧迫されるでしょう。
高齢者の方が安心して暮らせるための「介護保険」だったはずです。弱者に冷たい国のやり方に、憤りを感じます。♣